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糖質制限FAQ-3

心身の不調

FAQ:心身の不調に関する質問

 

Q1. 足がよくつるようになった(こむら返り)

 

糖質制限を始めてから、頻繁に足がつるようになったという質問は多いです。

 

糖質の摂取そのものとこむら返りが関係があるとは思えませんので、食生活の変化に伴う栄養素の不足が原因と考えられます。

 

こむら返りの原因としては、 脱水・ミネラル(カルシウム、マグネシウム)やビタミンB1の不足等があります。

 

★対策

 

・水分をしっかり摂る。

・カルシウム・マグネシウムを多く含む食品を摂る。

・ビタミンB1を多く含む食品を摂る

 

芍薬甘草湯(漢方)が効果的だという説もあります。ビタミン・ミネラルは自然食品から摂るのが理想的ですが、市販の安価なサプリメント(カルシウム・マグネシウム)なども適宜利用してもよいでしょう。

 

Q2. 頭痛がする / 眠くなる / 頭が働かない / 力が出ない / 倦怠感 / 立ちくらみ / 低血糖症状など

 

これらは基本的に同根の問題だと思われます。

 

最も多いケースは、「糖質制限+カロリー制限」をしてしまっている場合です。脂質やタンパク質まで制限すれば、総体的にエネルギー不足に陥ります。特に高齢の方は栄養失調状態にもなりかねず、危険です。

 

糖質を制限する場合は、普段よりも多めの脂質・タンパク質を摂取し、体調や体重をチェックしながら適宜調整して下さい。

 

糖質(ブドウ糖)への依存度が高い人ほど、制限した時に負の影響をより強く感じるものです。精神的な依存の影響も大きいですし、身体が脂肪酸(ケトン体)をうまく使えるようになるまで多少の時間が必要です。糖質以外の栄養をたっぷり摂って、徐々に身体と心を慣らしていって下さい。

 

また、食生活の変化に伴い、何らかの必須栄養素が不足している可能性もあります。ビタミンB群、Cなどが充分に摂れているかどうか、食事内容を確認して下さい。

 

Q3. のどがよく乾くようになったのですが...

 

主食系の食べ物には水分が多く含まれます。これらを食べないことによって水分の摂取が不足しているのかもしれません。

 

また、おかずのみを食べることになるのですから、塩分摂取の増加も考えられます。

 

お酒を飲む方は飲み過ぎとおつまみの塩分も要チェックです。

 

タンパク質摂取が相対的に増えることになりますが、タンパク質の代謝に水分が必要なので、これも喉が渇きやすくなる一因かもしれません。

 

水分をこまめに摂るようにしましょう。ミネラルウォーター、茶、(無糖)炭酸水などがお奨めです。

 

Q4. 糖質を摂らないと気が塞ぐ。うつっぽくなった。

 

糖質には依存性(中毒性)があることが分かっています。

 

これまで糖質への依存度が高かった人ほど、急にやめると中毒症状が強くでると考えられます。自分を追い込まず、少しずつ量を減らしてゆくようにしましょう。

 

糖質制限食で制限する主な対象は、「主食類」、と「砂糖(菓子・清涼飲料水)」です。いきなり両方をやめると反動も大きいと思われますので、まずは後者をやめてみましょう。

 

特に「果糖ブドウ糖液糖」が多く含まれる飲料(市販のジュース類の殆どです)は大量の糖質を摂取することになるので危険性が高いです。

 

どうしても甘いものがやめられない場合は、エリスリトール、大豆粉などを使ってお菓子を自分で作るか、市販の低糖質スイーツを利用して下さい。

 

また、アミノ酸(タンパク質を構成する物質)の一種であるトリプトファンの不足が神経伝達物質セロトニンを減少させることがうつ状態の原因となっている可能性もあります。男性に比べ、女性はトリプトファン不足によるセロトニン減少率が高いという研究もあります。

 

トリプトファンはタンパク質を多く含む肉、魚、卵、ナッツ、豆、乳製品に多く含まれます。これらを積極的に摂るよう心がけて下さい。

 

Q5. お腹の調子が悪くなった(便秘・下痢)

 

糖質制限に伴う食生活の変化により、

 

・水分不足

・食物繊維不足

・腸内環境の変化

・飲酒量の増加

・代替食品による食物繊維の過剰摂取(コンニャクなど繊維の多いもの)

 

などが生じていると考えられます。

 

また、低糖質パンや菓子類によく用いられる小麦ふすま(ブラン)、エリスリトール等の糖アルコール類、イヌリン、難消化性デキストリン(いずれも食物繊維に分類されるオリゴ糖)は、多く摂ると下痢の原因になる場合もあります。

 

便秘ぎみの場合は、水分を適切に補充し、食物繊維が豊富な野菜・海藻などを多めに摂りましょう。

 

下痢ぎみの方は、お酒や食物繊維の摂取量を確認してみて下さい。

 

いずれにせよ、腸内環境を整え、免疫力を高めることが肝要です。

 

・漬け物、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を積極的に摂る(プロバイオティクス)

 

・いわゆる善玉菌と、その餌となる食物繊維を同時に摂る(シンバイオティクス)

 

・水分調整

 

など、色々試して自分に合う方法を見つけて下さい。

 

Q6. 体臭がきつくなった気がします。

 

糖質制限を始めてしばらくすると、血中ケトン体(脂肪酸の代謝物質)の濃度が高まり、尿中や呼気中にアセトンが排泄されます。

 

アセトンには特有の臭気があり、呼気が甘酸っぱい臭いになることがあります(しない人もいます)。

 

3ヶ月から半年たつと、血中のケトン体が基準値より高値でも尿中や呼気中に排泄されなくなります。

 

心筋や骨格筋など体細胞ののケトン体利用効率がよくなり、腎臓のケトン体再吸収も向上するからです。

 

この臭いは、食事をしばらく抜いたり、一般的な低カロリーダイエットをしていても発生することがよくあります。一時的なものなので心配はいりません。

 

Q7. 動悸がするようになりました。

 

これは、糖質制限をしている人が、普段特に何もしないのに動悸を感じるようになった場合と、たまに糖質を摂った時に動悸を感じる場合とがあります。

 

◆糖質を摂らない状態での動悸

 

動悸の原因についてはよく分かっていないことが多いのですが、特定の病気が原因である場合を除き、低血糖、貧血、更年期障害、カフェインやアルコールの過剰摂取、ストレス、自律神経の失調などが関与しているケースはあるようです。

 

これらの中で食生活と関連しているのは、

 

・低血糖

・貧血(鉄の不足)

・カフェイン・アルコールの過剰摂取

 

です。低血糖はエネルギー不足ですし、他の要因について心当たりがあれば是正しましょう。

 

何らかの病気が原因の可能性もありますので、心配な場合は診察を受けて下さい。

 

◆糖質制限中、たまに糖質を摂った時の動悸

 

糖質摂取後は、正常人でも血糖値が上昇します。

 

血糖値が上昇したときに、追加分泌インスリンが出過ぎると、3~4時間後に低血糖になることがあります。

 

正常人が1日三食糖質を摂っていると、食後血糖値が上昇しても慣れてしまっているので、動悸等の心身的変化は感じなくなっています。

 

その代わり、一旦上昇した血糖値が急速に下がる時に眠たくなる場合などがあります。。

 

スーパー糖質制限食を実践していると、食後の血糖値がほとんど上昇しないので、血糖値の急速な上昇も急速な下降もなくなり、眠気も動悸も生じません。

 

一方、日頃スーパー糖質制限食をしている人が、たまに糖質を食べた場合には、血糖値が急速に上昇したとき、それに慣れていないので動悸がしたり頭が働かなくなったりするものと考えられます。

 

Q8. 生理不順になりました。

 

糖質制限をすることで、それまで不規則だった整理がとても規則的になったという報告が多いです。

 

生理と糖質摂取との間に関係があるとは考えられないため、エネルギーまたは必須栄養素の不足が考えられます。質問2をご参照下さい。

 

Q9. 糖質制限を始めたところ、じんましんの様なものが出来て痒くてたまりません。

 

近年若い女性に増加している「色素性痒疹(しきそせい ようしん)」の可能性が高いです。

 

胸、肩、首周囲などに赤い発疹ができ、発疹が消えた後も網状に色素が沈着するものです。発疹は繰り返し発生することが多いです。

 

原因は不明ですが、高ケトン血症、糖尿病、無理なダイエット等と関連していると考えられています。要因として最も多いのは、摂取エネルギーが少なすぎることだと考えられます。

 

効果があるかどうか分かりませんが、

 

1. 摂取エネルギーを増やす

 

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2010年)が示す推定エネルギー必要量の範囲(18歳以上)を目安に、「過度なダイエット」にならないよう調整しましょう。

 

・身体活動レベルが普通

 

男性:2200-2650 kcal

女性:1700-1950 kcal

 

・身体活動レベルが低い

 

男性:1850-2250 kcal

女性:1450-1700 kcal

 

2. 糖質制限を緩める

 

高ケトン血症に関連する場合もありえますので、ケトン体高値とならないような緩やかな糖質制限を試してみるのもよいかもしれません。

 

例えば、1回の糖質摂取量を20-40g程度にして様子をみます。

 

それでも治りにくい場合は、ミノマイシンという抗生物質やレクチゾールという内服薬を用いることが多いようです。

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